我が里に 大雪(おおゆき)降れり 大原(おおはら)の
古(ふ)りにし里に 降らまくは後(のち)
私の住む里に大雪が降りました。
あなたが住む古びた里に雪が降るのは、もう少しあとでしょう。
『万葉集』に収められているこの歌は、天武天皇(てんむてんのう)が新妻に贈った歌といわれています。
天武天皇が我が里と言っているのは、奈良の飛鳥の宮(あすかのみや)のこと。妻は実家のあった、小高い丘の大原という里に住んでいたといわれます。
この歌は、離れて暮らす妻を案じた歌ともとれますが、新しい宮殿に住む自分に比べ、ひなびた里に住む妻をちょっとからかって詠んだ歌と解釈されています。
それに対して妻は、こんな歌を返しています。
我が岡の おかみに言ひて 降らしめし
雪のくだけし そこに散りけむ
私の丘の神様にお願いして、降らせていただいたのです。
その雪がくだけて、破片がそちらに降ったのでしょう。
夫婦のほほえましいやりとりに、雪も溶けそうですね。
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