香りの散歩道


古来より香りの象徴の藤袴


墨絵・朝野泰昌
秋の七草の一つ、藤袴(ふじばかま)の花を見たことがありますか。

奈良時代に薬草として中国から伝わった薄紫の花で、河原や野山に咲く身近な植物として親しまれてきました。

平安時代の『古今和歌集』には、紀貫之(きの・つらゆき)のこんな歌が収められています。

やどりせし 人のかたみか 藤袴 わすられがたき 香(か)ににほいつつ

わが家に泊まったあの人が残した形見だろうか、藤袴よ。
忘れがたい香りが今も匂っている・・・。
この歌で香りの象徴とされている藤袴は、乾燥させると桜の葉っぱのようなすがすがしい香りがします。

その昔、中国では女性がこの花を髪にさしたり、袋に入れたものを身につけていたとか。
日本でも古くから香料として使われ、平安美人たちは、藤袴の匂い袋を十二単にしのばせていたそうです。

紀貫之の歌に登場する、忘れがたい香りを残して去った人物も、もしかしたら、こうした女性たちの一人だったのかもしれませんね。
 
清楚な姿と香りで、日本人に愛されてきた藤袴。
けれど今では、野生の藤袴はすっかり姿を消してしまいました。

絶滅のおそれがある植物としてレッドリストにも載せられ、昔ながらの藤袴をなんとか保護しよう・・・という活動も始まっています。




*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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