江戸の浮世絵師・葛飾北斎(かつしか・ほくさい)が、滝の名所を描いた、 「諸國瀧廻り(しょこくたきめぐり)」という作品をご覧になったことがありますか。 日光東照宮へ詣でる人々が、旅の疲れを癒したという「下野黒髪山(しもつけくろかみやま)きりふりの瀧」や、 源義経が馬を洗ったという伝説の滝「和州吉野義経馬洗瀧(わしゅうよしの・よしつねうまあらいのたき)」など・・・。 日本各地の八つの滝を、斬新な水の表現で描き分けた、知る人ぞ知る北斎の傑作です。
眺めているだけで、水しぶきの冷たさや風の匂い、轟々(ごうごう)と落ちる水の音までもが、五感に響いてくるような北斎の滝。 その世界に浸っていると、まるで江戸時代の旅人になって、滝めぐりをしているような気分です。 「諸國瀧廻り」には描かれていませんが、山陰にも、美しい滝、迫力のある滝、神秘的な滝はたくさんあります。 日本の滝百選にも選ばれた、 鳥取県の大山滝(だいせんたき)や 雨滝(あめだき)、 島根県の龍頭八重滝(りゅうずやえだき)、 壇鏡の滝(だんぎょうのたき)。 また、鳥取県と兵庫県の県境近くにある、 新温泉町の猿壺の滝(さるぼのたき) は、その幻想的な姿がカメラマンに人気の滝です。 数え上げたらきりがありませんが、もしも北斎が生きていたら、どのように描くのか見てみたい滝ばかりですね。 この夏は皆さんも、天然の涼を求めて、山陰の滝めぐりに出かけてみませんか。