香りの散歩道


蒲の花粉と白兎

墨絵・朝野泰昌
師走の声を聞くと、そろそろ年賀状の準備を……という方も多いでしょう。

今年は、香り付きの年賀ハガキも発売されて話題になりました。

『くまのプーさん』の絵柄を軽くこすると、花の香りがするハガキ。
宛名面には、来年の干支にちなんで、プーさんの仲間のラビットも描かれています。

このラビットや『不思議の国のアリス』の三月ウサギ、『ピーターラビット』など、物語に登場する人気者のウサギはたくさんいますが、山陰のスターは何といっても『因幡の白兎』ですね。

大黒さまの名で親しまれている、オオクニヌシノミコトに助けられたウサギの神話は、皆さんよくご存じでしょう。
童謡の『大黒さま』では、傷だらけのウサギと出会った大黒さまが、きれいな水でカラダを洗い、蒲(がま)の穂綿にくるまるようアドバイスします。

この歌から、茶色い蒲の穂にくるまった、ウサギの姿を想像する人は多いのではないでしょうか。
けれど、『因幡の白兎』の原文といわれる『古事記』では、蒲の穂綿ではなく、蒲黄(ほおう)と書かれています。

蒲黄とは蒲の花粉のことで、古くから生薬として民間療法に使われてきました。
傷薬としてカラダに塗ったり、飲み薬にすると利尿作用や出血を止める作用があるといわれています。

蒲の花粉、蒲黄で傷を治し、もとの姿になった白兎。来年はますます人気者になりそうですね。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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