香りの散歩道



おそばのくきはなぜあかい



墨絵・朝野泰昌
新そばが出回る季節。

味や香りのこだわりは、皆さんそれぞれあるようですが、秋の実りに感謝する気持ちは、きっと同じでしょう。
 
そばの茎は赤い色をしています。

その昔、「どうして赤いのだろう?」と不思議に思った人がいたようで、さまざまな民話の題材となって日本各地に伝わっています。

『おそばのくきはなぜあかい』という、岩波書店の絵本もその一つ。

昔話をもとに、児童文学者の石井桃子(いしい・ももこ)さんが文章を書いて、

昭和29年に初版本が発行されました。
 
物語の舞台は、人間がまだ草や木と話ができたころ。

ある冬の寒い日、大きな川のほとりで、そばとむぎが話をしていると、杖をついたおじいさんがやって来て、自分をおぶって川を渡ってほしいと頼みます。
むぎはすぐに断りましたが、そばは困っているおじいさんを見て「やってみましょう」と引き受けます。

冷たい水の中、何度も転びそうになりながら、凍える足でがんばりぬいたそば。
なんとか無事に向こう岸へ着いたのですが、その足はまっ赤になっていました。
だから、そばのくきは、今でも赤いのです。
 
この話には続きがあり、実は、おじいさんは穀物の神様で、親切なそばを、夏の太陽のもとですくすく育つ穀物にしてくれました。
そして、不親切なむぎは、冬の寒さをがまんしなければならない穀物にしたのだそうです。 

元気に育ったそばを見たら、思い出してみませんか。




*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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