長崎市の山王神社(さんのうじんじゃ)にある2本のクスノキ。
樹齢600年ともいわれるその木は、65年前の8月9日、長崎に原子爆弾が投下された日も、山王神社の境内に立っていました。
枝も葉っぱも、爆風と熱線で一瞬にして吹き飛び、幹は途中から折れて黒焦げになったそうです。
それでも立ち続けていた2本のクスノキは、被爆からおよそ2年後、奇跡的に息を吹き返しました。
芽吹いた小さな緑は、人々が驚くような生命力で、青空に向かって伸びていったのです。
その姿に励まされて、まちを復興するために立ち上がった人や、平和の願いを伝えていくために、この木を守りたいと思った人。
それぞれの思いを胸に、多くの市民が保存活動に参加し、2本のクスノキは守られてきました。
こうした人々の活動も含めて、山王神社の被爆クスノキは『残したい日本の音風景100選』に選ばれたそうです。
心を澄ませば聞こえてきそうな木の声、いのちの匂い。
忘れてはいけないメッセージが、そこにあります。
|