どこにどんな名物があるのか、前もってリサーチするのは、江戸時代の人々も同じだったようです。
物見遊山の旅が、庶民の間で流行しはじめた江戸時代の後期。
ガイドブックがわりに使われていたものの一つに、道中双六(どうちゅうすごろく)があります。
旅の行程を双六にしたもので、浮世絵師の歌川広重(うたがわ・ひろしげ)や葛飾北斎(かつしか・ほくさい)が描いた道中双六が、今も残っています。
広重の作と伝えられる「東海道遊暦雙六(とうかいどう・ゆうれき・すごろく)」のふりだしは、江戸の日本橋。
上がりは京都の清水寺で、そこにたどり着くまでのマス目に、東海道沿いの風景や名物が生き生きと描かれています。
日本橋を出発して最初の宿場、品川の名物は海苔。
小田原は梅干しで沼津は鰹節、桑名の焼き蛤に草津の姥が餅(うばがもち)。
食べものだけでなく、大森の麦わら細工や鳴海(なるみ)の有松絞(ありまつしぼり)など、街道みやげとして人気のあった工芸品も紹介されています。
今見てもワクワクするような道中双六は、江戸っ子の旅ごころを大いにかきたてたことでしょう。
現代版の山陰道中双六を作るとしたら、皆さんの町からはどんな名物を紹介したいですか。
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