香りの散歩道



香りで厄除け


墨絵・朝野泰昌

 今日、2月3日の節分の行事には、日本各地でさまざまな風習が受け継がれています。

柊の枝にイワシの頭を付けたものを、家の戸口に立てておくのもその一つ。

これは、季節の変わり目に入り込もうとする邪気を、柊のトゲとイワシの匂いで追い払おうと考えられたものだそうです。


香りで厄除けをする風習は世界各地に古くからあり、中世ヨーロッパでは、流行病(はやりやまい)の感染も香りで防げると考えられていました。

疫病対策としてスパイスを焚いて街を消毒したり、外出するときには「ポマンダー」と呼ばれる香り玉を身につけていたとか。
貴族たちは、金銀で作られた小さな容器に練り香を入れたポマンダーを、ネックレスのように首にかけたり腰にぶら下げて、厄除けをしていたそうです。

高価なポマンダーが手に入らない庶民たちも、ハーブなど香りの高い草花を花束にして持ち歩いたり、匂いの強いもの、たとえば悪臭のする靴下なども厄除になると思われていた、という説もあります。

効き目のほどは定かではありませんが、それほど匂いにはチカラがあると考えられていたのでしょう。

季節の変わり目。できれば、お香や香水などのいい香りを身につけることで、流行病が予防できるといいですね。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



香りの散歩道TOPへ
 /  TOPへ  / 歳時記へ