香りの散歩道


先住民デザインのメダル


墨絵・朝野泰昌

冬季オリンピックの開幕が近づいてきましたね。
開催地、カナダのバンクーバーには、自然と共に生きてきた先住民の文化が息づいています。

選手に贈られる金・銀・銅のメダルも、先住民に伝わる伝統的な絵柄をもとにデザインされました。


オリンピックのメダル615個をすべてつなぎ合わせると海を泳ぐシャチの絵柄になり、パラリンピックのメダル399個をつなぎ合わせると空を飛ぶワタリガラスの絵柄になる、壮大なデザインです。

ワタリガラスといえば、カナダには有名な神話があります。

ある日、砂浜で巨大なハマグリを見つけたワタリガラスは、貝の中で泣いている小さな生き物たちに、一緒に遊ぼうと呼びかけました。
その声に誘われて、おそるおそる外に出てきたのが、この世界に最初に足を踏み出した人間でした。

この神話を題材に、先住民の血をひく彫刻家ビル・リードが制作した「ワタリガラスと最初の人間」という作品は、カナダの20ドル紙幣のデザインにもなっています。

この巨大な彫刻作品は、バンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学の人類学博物館に展示されていて、かつてワタリガラスの神話を追い続けた日本の写真家、星野道夫(ほしの・みちお)さんも、ここを訪れたことがあるとか。

そして今年、ワタリガラスはパラリンピックのメダルになって、世界に羽ばたこうとしています。
平和の祭典バンクーバー大会が、自然と人間の深いつながりに思いをはせる、そんな大会になるといいですね。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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