香りの散歩道


浮世絵を通して江戸の園芸文化


墨絵・朝野泰昌

 万葉の昔から、季節ごとに咲く草花を愛してきた日本人。

江戸時代には、現代のガーデニングブームを超えるほどの園芸ブームがあったといわれています。

縁日の夜店で買った鉢植えを大事に育てたり、今でいう菊花展のような催しに大勢の江戸っ子が詰めかけたり……。

天秤棒をかついで鉢植えを売り歩く、植木売りという商売もありました。

 幕末に日本を訪れたスコットランド出身の植物学者ロバート・フォーチュンは、日本人の花を愛する国民性に驚き、日記の中にも書きとめています。

そんな花と緑のある庶民の暮らしを生き生きと描いた、浮世絵の特別展が東京・渋谷区の太田記念美術館で開催されています。
『江戸園芸花尽し』というタイトルの通り、江戸の暮らしに娯楽と潤いをもたらした、当時の園芸ブームを垣間みることができる展覧会です。

浮世絵を通して江戸の園芸文化の豊かさを探ろうという試みは、これまでにはなかったとか。
幕末に作られた粋なデザインの植木鉢なども展示され、浮世絵ファンにも園芸ファンにも注目を集めています。
 
11月26日まで、太田記念美術館で開催中の『江戸園芸花尽し』。
浮世絵に描かれた、匂い立つような江戸の園芸文化を、皆さんもご覧になってみませんか。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

11月分は放送中につき、もう少々お待ちください。

*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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