香りの散歩道


形の違う9種類のワイングラス


墨絵・朝野泰昌

 実りの秋。
地球の北半分、北半球にあるワインの産地の多くが、ぶどうの収穫時期を迎えます。

ワイン好きの方は、「今年のぶどうの出来はどうかしら…」とワクワクしていらっしゃるのではないでしょうか。

ワインの歴史は古く、はるか紀元前にまでさかのぼるといわれています。

 それだけに、ワインの楽しみ方も奥が深いのですが、その味わいがワイングラスの大きさや形によって変わるといわれるようになったのは、今からおよそ50年前のこと。

ワインそのものの歴史に比べれば、ごく最近の出来事です。
ちょっと意外ですね。

 ワインの香りを際立たせる、革新的なワイングラスが誕生したのは1958年。
オーストリアでグラス工房を営むクラウス・リーデルのもとに、それまでにない大きなワイングラスのオーダーが舞い込んだことがきっかけでした。

ワインの香りを十分に引き出す大きさにこだわり、クラウスが完成させたグラスは、ピエモンテやブルゴーニュなど、世界有数のワインの産地で大評判に。

ところが、別の産地では、そのグラスがワインの持ち味を消してしまうことがわかり、クラウスは試行錯誤の末、形の違う9種類のワイングラスを作り出しました。

そのおかげで今、私たちは、産地ごとに個性が異なるワインをより美味しくいただけるのですね。
ワイングラスを使い分けて、香りの変化を楽しむ贅沢。
皆さんも試してみませんか。



*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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