香りの散歩道


菊の花びらを浮かべた菊酒


墨絵・朝野泰昌

 「秋を経て 蝶もなめるや 
          菊の露(つゆ)」

秋になっても飛んでいるチョウチョは、菊の露を飲んで、その命を長らえているのでしょうか。
そんな想像がふくらむ、松尾芭蕉の句です。

「今日、九月九日は「重陽の節句」。
三月三日の「桃の節句」や五月五日の「端午の節句」と並ぶ五節句の一つで、別名「菊の節句」とも呼ばれています。

「重陽の節句」には、菊の花を浸して香りをうつした酒を飲み、邪気を払い寿命を延ばすという風習があります。

 これは、平安時代に中国から伝わったそうで、当時、菊は不老長寿の薬草として珍重されていました。
菊の露にまつわる延命伝説もあり、その一つ『菊慈童(きくじどう)』の話は、日本の伝統芸能である能の演目にもなっています。

物語の舞台は中国。
ときの帝から寵愛されていた美少年が、誤って帝の枕をまたいでしまい、人里離れた山奥へ流罪になってしまいます。

それから700年。
菊の花が咲き乱れる山で発見された少年は、老いることなく生き延びていました。
なぜなら、お経を書いた菊の葉から滴る露を飲んでいたから。
その露は、永遠の若さをもたらす不老不死の薬だったのです。

「重陽の節句」の今夜、大人の皆さんは、菊の花びらを浮かべた菊酒(きくざけ)で一献、いかがですか。
もしかしたら、アンチエイジングも期待できるかもしれませんね。




*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。



*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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