香りの散歩道


夏の風物で暑気払い


墨絵・朝野泰昌


 目にも涼やかな夏の風物詩、ところてん。

暑気払いに、あの松尾芭蕉も食べたのでしょうか。
こんな俳句を残しています。

清滝(きよたき)の水汲みよせてところてん

清滝は、芭蕉が訪ねた京都の嵯峨野にある、水の里の地名だといわれていますが、清らかな滝の流れと透明感のあるところてんのイメージが、ぴたりと重なる美しい句ですね。


 ところてんの歴史は古く、飛鳥時代の文献にも、原料である海藻の天草(てんぐさ)が「心太(こころぶと)」という名前で登場しています。
今でも、心に太いと書いてところてんと読むのは、その名残りだそうです。

ところで、皆さんにとってところてんとは、酢醤油のすっぱい香りがする食べものですか?
それとも、黒蜜の甘い香りがするおやつですか?
一般的には、関東では酢醤油にからしを添えて、関西では葛きりのように黒蜜をかけて食べるのが主流だといわれています。

最近は、どちらの食べ方も全国的に認知されてきたようですが、酢醤油派か黒蜜派か、まわりの人に聞いてみるのも面白そうですね。
どちら派でもない、「もっとおいしいわよ」という意外な食べ方を教えてもらえるかもしれません。

食物繊維たっぷりの健康食品としても注目されているところてん。今年の夏もきっと、暑気払いの人気者でしょうね。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

7月分は放送中につき、もう少々お待ちください

*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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