香りの散歩道


東大ブランドの香水『蓮香』


墨絵・朝野泰昌

 初夏に咲く蓮(はす)の花。
その気品あふれる香りをイメージした香水が、東京大学で誕生したことをご存じでしょうか。

ここ数年、大学の研究成果を活かした商品開発が話題を呼んでいますが、東大ブランドの商品の中には、蓮の香りと書いて『蓮香(れんか)』という名前のオリジナル香水があります。

しかも、その香りは、二千年の眠りからさめた古代の蓮の香りを再現したもの。


 この古代蓮(こだいはす)は、今からおよそ60年前、昭和26年に、当時千葉県にあった東京大学の農場で発掘された、3粒の蓮の実に由来しています。

東京大学出身の植物学者、大賀一郎博士が(おおがいちろう・はくし)が、地元の中学生たちと一緒に遺跡の発掘調査をしたときに見つかったもので、少なくとも二千年以上前の蓮の実であると推定されています。

発掘された年の5月には、大賀博士によって発芽に成功。
そのうちの一つが、翌年の7月、淡いピンク色の花を咲かせました。

二千年の眠りからさめた蓮は、博士の名前にちなんで「大賀蓮(おおがはす)」と名づけられ、昭和29年には千葉県の天然記念物に指定されました。

その後、友好親善の花として海外にも根分けされ、古代のロマンを秘めた大賀蓮は、多くの人に愛されながら今も生き続けています。

大賀蓮をイメージして生まれた、東大ブランドの香水『蓮香』。その神秘的で清らかな香りを、皆さんも想像してみませんか。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。

5月分は放送中につき、もう少々お待ちください

*このコーナーは毎週水曜日に日本海新聞で掲載しています



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