今日は、お釈迦さまの生誕を祝う「花祭り」。 色とりどりの花で飾られた、お堂の中の誕生仏(たんじょうぶつ)に甘茶をそそぐお祭りです。 誕生仏とは、生まれたばかりのお釈迦さまの姿を象った仏像のこと。 七歩歩いて天と地を指さし「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげ・ゆいがどくそん)」と唱えたという、あの有名な姿を写したものです。
そのとき、天から龍がおりてきて甘露(かんろ)の雨を降らしたという伝説になぞらえ、誕生仏に甘茶をそそいで祝うようになったのだそうです。 一説によると、甘茶を用いるようになったのは江戸時代からで、もともとは香りの水、香水(こうずい)をそそいだといわれています。 甘茶もやさしい香りがしますが、この香水は十二種類の香料を使うようにと、作り方を記したお経も残されているとか。 宮中などで行われた「花祭り」は、さぞかしふくよかな香りがしたのでしょうね。 子どもの成長を願う行事としても親しまれている「花祭り」。 お寺の幼稚園に通っていた方などは、子どもの頃、小さなお釈迦さまに甘茶をかけて手を合わせた思い出があるのではないでしょうか。 四月八日は、花の香りと甘茶の香りに、懐かしい記憶がよみがえる日でもあります。