香りの散歩道 |
「母と子の三月ひなのつき」 |
墨絵・朝野泰昌 |
もうすぐ三月。 |
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まだ、ひな人形を買ってもらったことがありません。 なぜなら、お母さんは自分が子どもの頃、大切にしていたひな人形があまりにも素敵だったので、よし子ちゃんに新しい人形を買ってあげたくても、気に入るものが見つからないのです。 そのお母さんのひな人形は、空襲で焼けてしまったので、もうどこにもありません。 今年こそ、ひな人形を買って欲しいとよし子ちゃんにせがまれ、二人でデパートに行くのですが、お母さんにはどれも同じような規格品(きかくひん)に見えてしまいます。 そしてまた、三月三日がやって来ました。 学校から帰って来たよし子ちゃんを、玄関に飾った桃の花と菜の花の匂いが出迎えてくれます。 さてその日、よし子ちゃんはどんなひな祭りを過ごしたのでしょう…。 読み終えたあと、心がぽかぽかしてくるような、石井桃子さんの『三月ひなのつき』。
できれば親子で読んでいただきたい、愛情あふれる物語です。 |
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