ヒゲおやじの絵日記/心の旅人
第6話「ブラックジャックの冒険2」
絵と文・猪熊燻太郎/提供・朝野家
ジャック2
 青く輝きながら遠ざかる地球を眺めながらブラックジャックはつぶいやいた。
「命と引き換えにしても惜しくない美しさだ」
地球が見えなくなると、反対方向に目指す星・ アンドロメロメロが現れた。不思議な神秘だ。暗黒の大宇宙に生命の宿る二つの星。偶然とは思えない、きっと人知を超えた計り知れないプランナーが存在するに違いない。
◆ごう慢な人間◆
 人間が万物の霊長だと思い上がった時、人間のごう慢が始まったのだ。
ウイルス汚染測定装置が作動し始めた。驚くことにこの星は、過疎地域ほどウイルスの攻撃が強く、全滅に近い。明日にもウイルスの侵入が予測される小さな何の変哲もない過疎の町に着地して仰天した。
 町のリーダーたちの品格の悪さはめちゃくちゃなのだ。誰も彼も初心を忘れ(いやもともと初心なんか持ち合わせていなかったようだ)、顔付き、態度からしてごう慢、高慢、自惚れ。口では平等、協力、助け合いを唱えながら非難し、足を引っ張り、嫉妬し、ねたみ、差別し…。寝てもさえても考えることは利権を手にすることのみ。
 魂も誇りも捨てたのか、住民の悲鳴を聞く耳はなくなったのか。問題が生じ不本意な状態にぶつかると、お互い非難を吐くだけで、この人たちも傍観者に過ぎないのだ。
わが愛する地球の日本では考えられない状態になってしまっている姿に、ブラックジャックはこらえ切れない悲しみに浸った。
「ウイルスの毒が全身に回らないうちに手を打とう」
動物たちはロケットの中から、積み込んできた世の中浄化装置を運び出した。
◆心の過疎◆
 ブラックジャックは町のリーダーたちに語り始めた。地球から特命を受けて来たこと。
そして「この地域に若者が嬉々と希望に満ちて帰って来るために、まずリーダーの方々が命を賭けてください。行動を示してください。最も恐ろしいことは人々の中に宿る心の過疎です。 田畑が荒れ、ふる里への愛着と誇りを失うことです。みなさんは少々物が豊になり過ぎましたから 少しスリムになりましょう」と。
 その時、動物たちから荒治療の準備完了の合図が入った。
(続く)

*このコーナーは毎週日本海新聞で掲載しています

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