ヒゲおやじの絵日記/心の旅人
第5話「ブラックジャックの冒険1」
絵と文・猪熊燻太郎/提供・朝野家
メロメロ
ブラックジャックは月の光を吸いこむと地下室の研究室に入り、世の中浄化装置の研究に夢中になった。歳は七十歳。希望に小躍りして生きる少年のようなひとり暮らしのじいさんだ。
◆人類滅亡の危機◆
元をただせば金持ち育ちだったが、今は名利を求めず、見栄を張らずに自由を楽しんで
暮らしている。人間に愛想が尽きたというか、金と地位と肩書きを持てば人はお世辞を言い、 お追従して集まってくるが、いったん貧乏になれば声も掛けてくれなくなる人間の薄情さに悲しくなったのだ。
研究に疲れると、森に入って動物たちと語り楽しんでいた。ある時、地下室の受信装置に二百万光年の宇宙の彼方(かなた)からのSOS信号をキャッチした。遥(はる)かな宇宙に地球と瓜(うり)二つの星が存在し、その星が新型ウイルスの攻撃を受け、人類滅亡の危機に直面し、救援を要請してきたのだ。
星の名はアンドロメロメロ星。病原体はヒラメコウマンテングA型と断定。紀元前ソドムとゴモラに蔓(まん)延した時、イザヤの万軍が神の力を受け撃滅したと聞く。特定の人の脳に入り、思考を麻痺(まひ)させるので目は上しか見えず、鼻は天狗(てんぐ)になり、 舌が二枚、三枚と増えて異常なほど利得に関心を示す。病状進行につれて眠り続けるが、 不思議と四年に一度目を覚ます。が、これも数日。正義も公正も失ってしまう誠に手に負えない 病気なのだ。
◆夢と未来に向かって◆
ブラックジャックの愛と正義の怒りは沸騰点に達した。 
『遥か宇宙の兄弟星を救え』
時には人のために冒険しよう、誰も死に向かった限りある命。だから今を濃縮して生きよう。危険かも知れない。失敗するかも知れない。つらいことを避ける人生は安全かも知れないが、かぐわしく満足な一生ではないのだ。歳をとっても、悲しいことがあっても、風に吹かれても 雨に打たれても、夢に向かって未来に向かって、宇宙に向かってがんばる時、奇跡の神は動く。
ブラックジャックと動物たちは時間と空間短縮ロケットでアンドロメロメロ星に飛び立った。
(続く)

*このコーナーは毎週日本海新聞で掲載しています

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