ヒゲおやじの絵日記/心の旅人

第45話 魔法の亥子(いのこ)納豆

絵と文・猪熊燻太郎/提供・朝野家


 兵庫県市川町に住む、前田喜代和さんにおもしろい話を聞いた。
世に名を残し、偉業を成した人物の食事を調べてみると、必ず納豆を食べているという。
この人々は、食べ物をわれわれ凡人とは違う感覚で食べていたようだ。

納豆の秘めたるパワー
 人生の目的をちゃんと持ち、成功するために脳機能が活性化する食事を巧みに利用していたに違いない。
集中力、直感力、創造力を養うために、彼らにとって食事は、まさに成功するための決戦食であり、信念食であったのだ。
その食事の中で特に重要視されていたのが、納豆の威力なのだ。
 第二次大戦中、日本の戦闘機、ゼロ戦は世界一の性能を誇っていた。
日本上空に飛来したB29爆撃機を迎撃するため、一万メートル上空に一気に急上昇する、ゼロ戦のパイロットの体調に異常が続出した。
高速で急上昇するあまり、気圧が二分の一になると腸内ガスが二倍になり、腹が膨張し、激しい腹痛を起こして顔面蒼白、脂汗タラタラ。まさに死ぬ思いだったとか…。

脅威の頭脳食品
 そこで研究の末、注目されたのが、なんと納豆だった。
納豆こそ整腸作用、オナラ防止食品だったのだ。
それ以来、軍用食として常用されたそうだ。
 また、日清、日露戦争で大勝利した日本軍の強さは、日本人の精神力だ。
その秘密が、納豆を食べていることにあると注目したのが、あのドイツ軍だ。
Uボートやロケット爆弾と同じレベルで納豆を研究したというから驚きだ。
 納豆は頭脳食品だ。45%のタンパク質、米、肉、魚を一緒にしたような食べ物だ。
がん細胞も抑え込んでしまう、病気予防作用を秘めた魔法の食品だったのだ。

心込めて作る納豆の味
 前田さんの納豆の話はまだ延々と続くが、決められた原稿用紙に限りもある。
うれしいことに良質の納豆職人が村岡町山田区にいるのをご存知か。
 亥子光信(いのこ・みつのぶ)さん、四十五歳。
その名も『亥子納豆』。
小規模だが、やさしい母さんと作る納豆は作り手の波動を感じる。
数年前、ボクのお師匠さんのような方で、近畿大学の岩村淳一工学博士に亥子納豆を分析していただいた。
納豆菌が良質で、パワーがあると太鼓判をいただいた。
 博士の紹介で大阪の食品会社との取引の依頼がきた。「一日二千食を毎日送れ」と。
小規模で対応不可能と涙をのんだ。

本物って何?
 コツコツと心を込めて作る亥子納豆のファンの応援者はあちこちにいる。
何かに付け、ハデな宣伝とハッタリで本物が見抜けない世の中。
目立たないが、ひたむきに執念のように本物を目指して作り続ける“何とかバカ”が、それぞれの町の足元に必ずいるものだ。
地産地消、『医者と神社、お寺は遠くがありがたゃーだがな』の時代ではにゃーのだ。
 人も品物も良いものはきっと近くにある。

*このコーナーは毎週日本海新聞で掲載しています

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