ヒゲおやじの絵日記/心の旅人

第46話 「だっチャー、だっチャー」 
絵と文・猪熊燻太郎/提供・朝野家

薫製肴に話も弾み
 『ヨォッ、久しぶりだっチャー、何年ぶりだっチャー』。岡山の知人二人がやって来た。
この不景気に儲かっチョルかも、クソもあるか、と反発しながらその晩、酒盛りとなった。
 肴(さかな)は家内が、オリーブ油に赤穂の自然塩にコショーを混ぜ合わせ、アイガモとタコの薫製を浸す。『うみゃーがな』の連発。
極め付けは北海道から取り寄せたダチョーの肉を薫製にした試作品を、のどを鳴らしてたいらげてしまった。酒も話しも弾んで夜も更けた。

宮仕えの悲哀
 昨年、町役場に就職したA君の話がおもしろかった。
A君いわく。公務員を天職と思い役場に入ったが、宮仕えの悲しさ、つらさが身にしみるという。宮仕えは先輩、上司の人間としての度量を見極める目を持っとらんとアカン。
度量の狭みゃー、器のちいシャー奴に仕えてみィ、エライ目に合うケンなあ。一生懸命頑張っても、おいしいとかぁ、先輩、上司に取られる仕組みになっチョルだっチャー。
 そんならチューて、黙っておとなしくしとってみィ、エーように利用されるのがオチだっチャー。『オレの立場ァどぎゃーなるだ、オレの面ツァーどぎゃーなるだ』。
わけのわからん理クツを付けられて責任取らされる、結局やる気がなぁなるだっチャー。

敵か味方か、奇々怪々
 結局みんな自分が、かわいいんだっチャー、下に責任押し付けるのもみんな保身からだっチャー。みんな損得計算しながら生きとるんだっチャー。しかたがにゃーだっチャー。
国会議員の先生だって、役場や銀行や会社の中だって、しかたがにゃーだっチャー。
『君を育てたる、悪りィようにはせんからな』とかなんとかいっちゃって、本音は『こいつオレの出世のために利用出来るか』なーんて考えとるのが本音だっチャー。
 そうだっチャー。それから、それから、酒の席でな、同僚から上役の悪口聞かされてな『ホンマ、ホンマ』なんて相ヅチ打つか、『ようわからんなあ』と逃げるかで敵か味方か判断されるケンな、相手を間違えんように話したり、聞いたりせんとあっきゃーへんだっチャー。

本物選びのポイント
 まあ、役場ちゅうとかァ、ヒラメの養殖場だっチャー。
係長や課長の目は上向きになっとるケン、下々の者は目に入らんだっチャー。
上役や肩書きのある連中やバッチ付けとる連中の思惑ばっかり気にしながら仕事してるとこだっチャー。
 春が来る、年度変り。いづれにしてもな、職場選び、仕事選びは銭のこても考えんならんが、自分を認めてくれる親方を選ぶことがポイントだっチャー。
 そうだっチャー、世の中みんなそうだっチャー、花も嵐も踏み越えて、行くが男の人生だっチャー。
A君はたっぷりグチを放出して元気に帰って行ったっチャー。

*このコーナーは毎週日本海新聞で掲載しています

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