ヒゲおやじの絵日記/心の旅人
第42話 ツキツキ物語
絵と文・猪熊燻太郎/提供・朝野家


 それはそれは、気の遠くなるような大昔の出来ごとでした。
とにかくお忙しい神様は、夜の空にお月様だけ造ると、さっさとどこかへ
旅に出てしまいました。
あるところに酒グセ、女グセの良くない、札ツキ、鼻ツキの評判の悪い男がいました。
またこの男が、やることなすこと、何をやってもうまくいかず、ツキから見放されていました。

星空誕生の秘密
 年の瀬もおし迫ったある日、世の中の不幸を全部背負ったような顔をして、
これで運のツキかと思いながら、ふらツキながら、暗い夜道をため息をツキツキ
歩いていました。峠の頂上付近に差し掛かった時、ふいに目の前に大きな満月が、
ヌーッと現われたのです。出会いがしらに、ドッスーン… ア痛たー。
はずみで男の目から、火花のような、おびただしい数の星が夜空いっぱいに
飛び散っていきました。
こうして星空は誕生したのでした。人々は見たこともない美しい星空を見上げて、
夢や希望を語り合うようになりました。

ツキを当てた男
 やがて、星空をあの札ツキ、鼻ツキ男が造ったことを知った人々は驚いて男に尋ねました。
『どうしてこんな事が出来たのかね、思いツキかね…』と。
『なあに、ただツキを当てただけさ…』?
男はツキに当たって痛い目に会いましたが、星空を見上げて感激する人々の姿を見て、
心の中にパッと灯りがツキました。
これまでの目にツキ、鼻ツキ、札ツキの生き方を変えて生きようと決心したとさ…
 思いツキの昔話もたねがツキ、おしまい。


*このコーナーは毎週日本海新聞で掲載しています

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