ヒゲおやじの絵日記/心の旅人
第19話 古代人
絵と文・猪熊燻太郎/提供・朝野家
古代人
それは遠い遥(はる)かな昔。あるところに古代人の一族が住んでいました。
この一族はある意味で夢のような暮らしを営んでいました。
でも美食に酔い、ぜいたくを好んでいた訳ではありません。
大昔のことですから一つ火をおこすにも時間と労力と人の協力がなければ何一つ出来ませんでした。
◆互いを信頼◆
不便で不自由な生活の中にもお互いを信頼し、お互いを必要として助け合って生活する空気が自然な形で流れていました。
隣りを羨(うらや)んだり妬(ねた)んだりすることも知りませんでした。
この一族が一番恐れて戦いの対象としていたのは、人間ではなく大自然の天変地異で、
暴風雨や大水、地震、落雷、山火事などの猛威でした。
村を襲ってくる野獣も脅威の対象となり、大怪獣に思えたのです。
やがて一族は大自然のすべてを支配している神の存在を知るようになりました。
実りの秋には最上の収穫物を神に感謝して捧(ささ)げていました。
一日の労働が終わり、夕陽に祝福されてそれぞれの家族と共に明日に希望をつないでいったようです。
書物もコンピューターもない大昔のことですから、老人は経験と知恵の宝庫として尊敬されていました。子供も女も若者も、お互いを認め励まし合って暮らしていましたから、
それが夢のような暮らしなのです。
◆崩れた人間関係◆
しかし時代が進み、いろいろな便利な道具や物を作り出し、お互いを必要としなくても生活できるようになりました。すると人間関係が希薄になり、争いの心が芽生えて攻撃の対象が人間になってしまい、やがて一族は滅びてしまったそうです。

*このコーナーは毎週日本海新聞で掲載しています

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