ヒゲおやじの絵日記/心の旅人
第12話「…たとさ(上)」
絵と文・猪熊燻太郎/提供・朝野家
たとさ
あったとさあったとさ。
おにぎり山があったとさ。
おにぎり山のてっぺんに
おだんご作りのおじさんが
おったとさおったとさ。
お客があろうがなかろうが、
おだんご作りに精を出す。
お久しぶりに来たお客。
うまいよ、おいしい日本一と、
ほめたとさほめたとさ。
おだてにのったおじさんが、
腕によりかけ作っただんご。
あっという間にペロリと食べて
しばらく世間の話に花が咲き、
ちょっと失礼、かわやを借りる。
いつまでたっても出て来ぬ客に、
あっと思ったその時は、
煙になってドロンと消えて、
街のどこかへ逃げたとさ
逃げたとさ。
朝がけ夜討ちでやって来る。
怖い顔した銀行マン
期限が来たぜ、どないする。
凄い目をして言ったとさ言ったとさ。
お金を預けりゃニコペコ顔で、
調子が落ちればエンマ顔。
ホンマにあんさん百面相。
あんたのお好きなお札にも、
ちゃんとあるんだ裏表。
浮世の商売裏表。 裏表。
お偉い先生裏表。カエルの背中も裏表。
夜空にかかる 三日月も
かならず満ちる時が来る。
今夜も夜討ちでやって来た。
これほど言ってもアカンのか。
ホンマにあんさんしつこいぜ。
時が来るまで満つるまで
街のどこかで修行して、
腕を磨いてくるからと、
スタコラサッサと逃げたとさ逃げたとさ。
(続く)

*このコーナーは毎週日本海新聞で掲載しています

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